森に浮かぶ

見知らぬ森の奥深く
いつしか周囲は薄暗く
振り向けば 来た道は 閉じて消え
夜のカーテンが ゆらり 舞い降りる

四方八方から取り囲む巨樹たちが 
立ち尽くす私を 怪訝に見下ろしている
不安の渦に溺れそうだ

一陣の夜風に 茂る枝葉は ざわめきに震え
森は 遠吠えに似た声で鳴く

見上げれば、巨樹から伸びだ細く長い枝先は
切れた雲間の宙に 有らん限りに手を伸ばし
一斉に掴もうとしている

青白く満ちた月 ぷかり
帰り道は そこだよと 
云わんが如く 月光が射す