悲しみコート

悲しみに濡れたコートをどうぞ脱いで
幾百の想い出が滲みて
こんなにも重くなっている

背中に背負うリュックをどうぞ降ろして
幾千の抱える荷物は 
こんなにも大きくなっている

外は荒れ狂う嵐の夜
吹きつける雨が 黒い矢となり窓を叩いている

どうか 心は折れないで
どうぞ 心は折れないで

冷えた身体に 温かいコーヒーを
疲れた身体に 癒しのベッドを
閉ざした心に 届く言葉を 

悲しみコートが乾く その時まで