架け橋

ひっそりと息づく森に
自らの重さで降り注ぐ雨粒は 源となり
夜明けとともに
低く垂れこめた雨雲は彼方

ひっそりと息づく森の
割れた岩肌から染み出す一滴は 朝日に輝き
シダの葉のクッションではじけ飛ぶ
小川の水面で 広がる波紋

分水嶺はサイコロを振るように
偶然 それとも 必然 いたずらな運命
ただ一方の流れに 流れるままに

小さな清流 小魚とすれ違いながら
束なり急流 小石を削りながら
瀬音が小さくなる頃
やがて緩やかな流れ 広がる大河

木の葉がゆれて 森の声
水がせせらぎ 川の声
空の青さを 揺れる水面に映しながら
行く道は知らない
蛇行を繰り返し ただ低い場所を求めて

懐かしい潮の匂いがする
懐かしい波の音まで
倒木が土へ還るように
僕は海へ還る

降り注ぐ雨は 空と森の架け橋
流れる河は 森と海の架け橋
彼方の水平線は 海と空を繋いで
見上げればそこに 七色のアーチが架かる