ひとひらの雲の中から

1.

ひとひらの雲の中に 生まれたわたしは
自らの重みを抱きかかえ
幾筋の銀色の縦糸を垂らすように

乾いた土地へと 恵みの雨
止まぬ土地へと 悲哀の雨
望み 望まれぬ わたしだけれど

あなたの頬を 涙が濡らすなら
せめてわたしは 涙を隠す雨になりたい

2.

ひとひらの雲の中に 生まれたわたしは
知らぬ使命を抱きかかえ
無限に舞い降りる 白き手紙

北の山地に 天使の雪
凍てつく街に 堕天使の雪
望み 望まれぬ わたしだけれど

漆黒の闇に ひとり佇む 夜があるのなら
せめてわたしは あなたへ届く雪になりたい