naca  npo法人アートコアあおもり
青森市大字新城字平岡160-1039 email: info@art-core.net

アートをサポートする環境

斎藤誠子

 時代が大きく変化する中で一般市民とアートとの関わり方は多様化してきている。
 一九九八年に「トヨタアートマネージメント講座(TAM)」が開催された。アートを通じた社会の活性化を目標に 一九九六年から、全国で開催されている講座である。地域に根ざしたアートの社会的価値が討論された。二〇〇〇年に、 国際芸術センター青森(ACAC)オープンへ向けたプレ・イベント「インターナショナル・アーティスト・イン・ レジデンス青森『puddles−水辺』」を「あおもりNPOサポートセンター(ANPOS)」が手掛け、多くの一般市民が サポーターとして参加した。また、この年には、八戸に「ICANOF(イカノフ)」が誕生し活動を開始、アートの持つ力で アーティストと、人と、また、アートによって集まってきた人たちから生まれる新しい「公共」というものが考えられる ようになってきた。八戸芸術大学と称する公開セミナーなど、多岐に渡る活動を展開している。翌年、二〇〇一年に、 青森市に国際芸術センター青森(ACAC)がオープン。同時に、アーティスト・イン・レジデンス(滞在型制作展示) プロジェクトをサポートする有志の活動がエアーズ(A.I.R.S.)として組織化され、現在も、制作サポート、材料の調達、 レクチャー・ワークショップなどの補助を積極的に行っている。また二〇〇三年には、国際芸術センター青森(ACAC) の活動をサポートする有志と地域住民が協力し、新しい形のNプロジェクト(ナンシー関展)を行い、成功を収めた。 その後、Nプロジェクトのメンバーを中心に「ARTizan」が誕生した。現在空きビルを利用した「空間実験室」の運営を 行っている。弘前市でも、二〇〇二年に開催された「奈良美智展」でのボランティアグループの有志により、アート系NPO の県内第1号「harappa」が誕生した。二〇〇六年三月には青森市でもnpo法人「アートコアあおもり」(naca) が誕生し活動を 展開している。

***今、何が必要か***
 一般市民がアートに触れるのは、施設(美術館や郷土館など)に行って作品を鑑賞するしかなかった。最近はサポーターとして実際にアート環境に参加できるのである。しかし、郊外にある美術館に足を運ぶという事を面倒くさいと思っている人達もたくさんいるだろう。まして、現代アートのような理解し難いジャンルになるとなおさらだ。それぞれの施設から鑑賞者側へ出向くアウトリーチ活動を行う事によって一般市民(商店街や行政サイドも含め)は受動的にアートの環境に触れることが出来る。今まで活発にサポーターとして活動してきた市民はアートマネジメントをはじめるかもしれない。関心はあったが、美術館などの文化施設に出向くことが億劫だった市民層はサポーターとして関わるかもしれない。そして、今まで芸術にいたって無関心だった不特定多数の市民をアートに引き付けることができる。芸術や文化は鑑賞するためだけにあるのではなく人と環境のコミュニケーションを促進しあうものであるのだ。
 その中でお互いが吸収し、自らが成長し、そのエネルギーが街を発展させる起爆剤にも成り得るのである。 (naca理事)