naca npo法人アートコアあおもり
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Blue Sky Project

風間真悟

略歴
1979 出生
2006 武蔵野美術大学造形学部油絵学科 卒業

2005 小平野外アート展(小平中央公園)
    東京コンペアーバンミュージアム大賞#2(丸の内ビル)
2006 岡本太郎記念現代芸術大賞(川崎市岡本太郎美術館)

アーティストのステートメント

Blue Sky project

青森の由来は、読んで字のごとく「青い森」からきているとの事です。
青い森公園、青い海公園、言葉の上だけではありますが、青が多用されています。
私は、そういった言葉の持つ現象性に引かれます。
これだけあふれている「青」という言葉を、現実の「青」という色で、空間に散りばめたいという欲求のもとにこのプロジェクトを企画しました。
三角はアスパムの印象が強く残りますが、非常に人の目を引く形です。
四角のように安定性のみではなく、鋭角的、進歩的な特徴も持ち合わせています。
県立美術館のロゴも「木」や「森」を象徴する三角の形をしています。
私の表現活動は、いくつかの多角的なコンセプトをもとに行っています。
その一つとして「日常の景観を一時的にかつ飛躍的に変化させる。」ものがあり、今回のプロジェクトはそのうちに含まれます。
また、普段の活動は、私個人の肉体のみを使って行うものが多いのですが、今回においては、 様々な方々のご協力が得られる貴重なイベントであるため、とても一人の肉体では出来ない事に挑戦してみようと思います。
経験不足なため、不手際はあるかと存じますが、どうかプロジェクト実現のため、ご支援の程、宜しくお願い致します。

 

風間真悟 青空が見えた
黒岩恭介

今回、青森を訪れた一三人のアーティストたちのプロジェクトの中で、最もお金と労力と根回しを要したのは、 風間のこの「ブルー・スカイ・プロジェクト」であった。その実現に向けて、多くの人々の協力があった。 いくつかのプランの中から、可能なプランが選ばれ、それを実行するために、役所に行ったり、県警に行ったりと、 道路使用許可を取る苦労も、あるいは協賛金を何とか集めたのも、ボランティアリズムのたまものであった。 周囲の精神的、 物理的な協力に支えられて、このたった一日だけのプロジェクトが成立したのである。ビルの谷間にブルーネットを掛 け渡すという、単純なプランは、机上の想定図ではなかなかの迫力、何とか実現したいという欲動の原動力となったものだ。 これはひょっとすると青森の意地であったのか。ナカサン・デパートから昭和通りは古川のはずれまで、 ブルーの三角形があちらこちらに顔を出した。ナカサンの正面には巨大な長い三角形、 同じくテントには NAKASANのアルファベットに重ねた三角形、また通りに面したビルの窓窓に現れた三角形の群れ。 しかし通行するどれほどの人々がこの作品に気がついただろう。 あまりに物理的な存在感が希薄だったということと、 ブルーの三角形はあまりにこの商店街に溶け込んで、環境に馴染んでしまった嫌いが、確かにあった。メインの、 ビルの谷間に掛け渡されたブルーネットですら、そうであった。 この商店街にいつもとは違った景色を出現させるという 意図があったとすれば、その意図は実現されなかった。街中で街の大きさと物理的に釣り合うアートを展開しようという 意志をアーティストが持ったとすれば、それなりの準備と資金と人手が必要になる。短い時間で、徒手空拳ではどうにも ならないことは眼に見えているが、あえてそれに挑戦し、周囲の人々を巻き込み、可能な限り実現にこぎ着けたのは、 このアーティストの人徳であったか。しかしアートとは何かを突き詰めていくと、クリスト夫妻のように何も街を暴力的に 仮構するだけが、アートではないはずだ。 街の雰囲気に寄り添い、ひっそりと佇み、よく観察すれば、アートしている みたいな、そんなあり方も当然可能なわけで、風間がその線を狙って昭和通りと取り組んだのであれば、 それは実にこの作家の思いが見事に実現されたと、言わなければならない。それにしても関係者の方々、お疲れさまでした。

(naca理事)