「象」熱帯動物園より・鈴木どるかす

粗末なコンクリートの道に

強い尿の匂いと 干し草の匂いが

混じって流れてきた

 

なつかしい記憶があふれてくる

 

灰色の 分厚い 皺だらけの

信じられないくらいの 大きな動物

わたしは「象だと」小さく叫んで 足を早めた

二頭の象の大きな耳が動き

ゆっくりと向きを変えて

のっそり のっそり

わたしたちを見ようと近づいてきた

 

檻をはさんで あちらは

仲むつまじく 鼻を絡ませ

こちらは 手をつなぐ

 

象の目がわたしたちの目をのぞき込む

唯一の気晴らしであるお客をじっと見る

ワタシテ ナンダロウ

ニンゲンデ アルコトニ

トホウニ クレル




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