「安らぎ」・溝江 豪

麻酔の針で痛みが消され
歯が抜かれても
まだ不安だった
瞼の裏の
白衣の人の明るさ
話しかけてくれる声の中で
すっかり幼子(おさなご)になっていく
眠りの淵に落ちて
羊水の揺れに包まれていたころの
無意識の世界に

暖流に浮く椰子の実のように
その人のあたたかい声が
亡き母の鼓動のように
重なっていく


詩の投稿作品・1997年


詩の投稿作品


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