「鳥と空」・わに

空には青がある。

空には鳥がある。

融通無碍な世界風とともに。

人にとっての死とともに。

頑迷な鳥の頭脳と格闘しながら、人は空を目指した。

空気圧の魔王の声も高らかに。


雲中の霧に巻かれることも夢でしかなかった頃。

(登山家を忘れていやしないか)

リリエンタールのグライダー。

モンゴルフィエの気球。

空々しい狂詩曲。

ヒトの浪漫の喇叭も高らかに。

空を切り取り、領土にする競争が始まった。

法律学者の鳥頭は努力をし、世界分割は終了した。

世界の蓋然性を覆い尽くす人間の所業。


今もなお、人を黙殺、テリトリーを守り鳥はゆく。

(鳥は鳥頭だから)

ヒタキにスズメにゴジュウカラ。

カラスにクイナにアホウドリ。

(ヒタキの漢字が変換されないとは、何という悲しさよ)

十全に行動を捕捉はされない。

祝福されし日本野鳥の会の眼を除いては。

呪われし人災事故を除いては。

空の疾風に、貿易風に、ジェット気流に世界を乗せて。

(馬鹿の一つ覚えで飛ぶな、ペンギン達に栄光あれ)

ジャンボジェットが在りし世も、

鳥の誉れは色褪せず。

スカイブルーの空気と共に、

全空の衣冠を身に纏い続けるだろう。

空空空。


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詩の投稿作品・1998年前半


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