「虎」熱帯動物園より・鈴木どるかす

薄暗い檻の中の

しなやかで たくましい

虎の前足が御馳走を掴んでいた

わたしたちに気付くと

頭を上げて 鋭く睨んだ

 オレはたったの一匹さ

 そのうち人の目の前で死ぬだろう

 ああ、人を食ってやりてぇや

というふうに 前足に肉をひっかけ

レバー色した時間を食いちぎっている

ゆっくりと首を傾け 遠い目をして

ひとりぽちに慣らされていくように


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