「通院・初夏」


緑が濃くなり昼の長さが一番長くなる頃に
一年に一度の検査入院のために
病院へと向かう
梅雨入り前の爽やかな陽射しと
濃い緑の匂いは
強い生命力を漂わせている
その緑のトンネルを私を乗せた車が
滑らかに進んでゆく
隣の座席の妻が微笑みながら
アカシアだと白い花を指差す

その光に満ちた光景の中には
厳然とした
生命力の終わりも含まれている
それ故に緑は輝き色鮮やかになる
やがては澄んだ秋へ白く長い冬へ
日は短くなり
光は弱まる

緑の生命力を体内に感じ
漲るものを得て
再び車は進み続ける
秋へ冬へ
そして再び緑と光の季節へと

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