「スイッチ」

リモコンで目を覚まし
リモコンで起き上がり
リモコンで顔を洗い
リモコンでご飯を食べる
リモコンで本を読み
リモコンで散歩をして
リモコンで昼食を食べる
その繰り返しで夜は訪れ
そして眠りに落ちる

父はリモコンで汗を流し
母はリモコンでまな板を叩き
祖父のリモコンは火葬場で焼かれ
祖母のリモコンは長寿をまっとうし
ぼくのリモコンはせかせかと
不変の信号を送り続ける

世の中にリモコンの音が溢れている


柴崎昭雄・詩作品


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