「晴れた日に」

秋の歌を歌っている
題名はない
声は妙に透明なのだが
喉に引っかかって歌いにくい
昔はすらすらと喉を通り過ぎたのだが━━
空が理由(わけ)もなく青かった

秋の実りを味わっている
簡単に手に入るのだ
それが何だか味気ない
かつては柿の実ひとつ取るにも作戦を練った
木に登るにも必死だった
そして探検家よろしく
秋の実りを見つけるべく
少年団は山奥へと突き進む
ガキ大将が隊長で
棒切れを振って指揮をとる
遠い記憶の
その山奥は未知なる世界だった
その閉ざされた静寂と
夢幻的な神秘性に
幼い体内には恐怖心がわき上がり
誰もが滑稽なほど真剣な顔になる
怖さを紛らわすように歌を歌った
やがて抱えきれないほどの収穫
そんな秋の実りはうまかった
子供たちは探検に忙しかった

秋の歌を口ずさむ
小さな探検隊があらわれては
賑やかに消えてゆく
あの空の青さを見上げている


柴崎昭雄・詩作品


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