「赤」


神様からもらった

一本の赤いえんぴつがある

何を描こうか迷ってしまう

哀しいことを描いてしまいそうで

ためらってしまう


赤いえんぴつをもらったのは

ぼくだけだろうか

名前を書いても

未来を書いても

赤い色なので

滑稽であり 哀しくもある

どうしようもなくて

とにかく赤いえんぴつを削ってばかりいる

早く短くなれ!

という衝動に駆られ

同時にかすかな不安が生じる


へのへのもへじを描いてみた

真っ赤な顔なので哀しくなってくる

もう何も描きたくない

捨ててしまおうか


でも神様がくれたえんぴつだから

たった一本のえんぴつだから

いつかきっと

いいものが描けるかもしれない


赤いえんぴつの

芯があたたかい


柴崎昭雄・詩作品


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