柴崎昭雄川柳作品

1999年


★第17回Z賞受賞作品←クリック

・1999年12月28日更新。

縄文の空の真下のかくれんぼ


鬼ごっこ掴まえられぬ縄文の月


・1999年12月21日更新。

あおあおとふたりのけもの満月光


逢いたくて逢いたくなくて月見草


・1999年12月14日更新。

熟れてゆく少年 錆びてゆく少年


コスモスのひとつ誰かに似ておりぬ


・1999年11月30日更新。

おまえもまた雪守人か雪舞えば


雪守の荒き呼吸よ 死者生者


・1999年11月23日更新。

すすき野に膀胱圧の極まれり


りんごむさぼる恋をむさぼる似非少年


・1999年11月16日更新。

磨かれた鏡が闇の一面に


またしても電子メールの打ち上げ花火


・1999年11月9日更新。

笑いどおしのひまわりも夕昏れる


おとこだってさ バンジージャンプ飛ぶってさ


・1999年11月2日更新。

八月のとんぼ滑空して果てる


辿りつくまでのなんだ坂 恋の坂


・1999年10月26日更新。

宇宙論語ればとんぼ宙返り


ふたたびの流星群や人恋や


・1999年10月19日更新。

毬を追ひ君とここまで来てみたが


雨の日の残り香かすか秋桜


・1999年10月12日更新。

くちびるで唇つまむ月のかたち


少年の瞳をしてドミノ倒しけり


・1999年10月5日更新。

一つも雲がなくなってゆく午後の不安


真夏日の堂々めぐり家族論


・1999年9月28日更新。

送り火の照らす一族整列す


天気予報だんだんふえるかすり傷


・1999年9月21日更新。

ユウスゲの人恋うかたち 明けやすし


祭り過ぐ煙草のヤニで黄色き指も


・1999年9月7日更新。

蜩のどこまで行くも兄おとうと


炎天や溶けぬ蝋人形ありき


・1999年8月31日更新。

ほうほうとところかまわずヤマセ吹く


うつつかなひとりの部屋にきつね雨


・1999年8月24日更新。

さばかれる魚を見ている花のとき


口笛を吹いて次郎は颯爽と


・1999年8月17日更新。

まほろばに突き出た骨ぞ紙吹雪


狩りの眼の兄おとうとや虫の籠


・1999年8月10日更新。

ほたる灯をかざせば家族らんらんと


検診におもむく父よ朝顔咲けり


・1999年8月3日更新。

這ったまま炎天を横切る


笑い人形わらうしかない曇天にも


・1999年7月27日更新。

菜の花畑につぎつぎ消える少年ら


五月野のそこいらじゅうに笛の音


・1999年7月20日更新。

海を失くして 海を見つけて春をころがる


鉄塊の重さ 笑ったぼくの重さ


・1999年7月13日更新。

菜畠に紛れ込んでも道化だな


永遠の少年父が舟を漕ぎゆく


・1999年7月6日更新。

横顔もいよいよ道化さくら満開


窓の外のさくらはみんないさぎよし


・1999年6月29日更新。

沖暗しならば舟唄うたうべし


深海で泣きはらしたるチンドン屋


・1999年6月22日更新。

大波小波 身のうちの海ふるわせて


こんな夜は銀河をクリックしています


・1999年6月15日更新。

月下にて泣けぬ男の阿波踊り


蟹の背も青々として少年期


・1999年6月8日更新。

沖が凪いで父の薬の時間なり


両の手に包まれてあり ちぎれ雲


・1999年6月1日更新。

声をあげて骨片青く発光す


父の闇を覗くとまるい月かがやけり


・1999年5月25日更新。

ひるがえりひるがえりして薄き胸板


すすき野の中のいっぽん禅問答


・1999年5月18日更新。

闘病(たたかい)の海に友の手紙の文字びっしり


泣き道化芒ヶ原をまっしぐら


・1999年5月11日更新。

なきつくし青をつくして月下の影は


一灯を生きつらぬかん点灯夫


・1999年5月4日更新。

曇天の鴎かぞえて泣き笑い


秋雲の速き流れよごろりと木馬


・1999年4月27日更新。

ひまわりは頷きながら人を待つ


影踏みの少年髭が生えてくる


・1999年4月20日更新。

炎天の影よ何かが尽きるまで


ひまわりの影もはげしく呼吸せり


・1999年4月13日更新。

驟雨くるかつての父の足音で


ふところに鏡と烈しき夕立を


・1999年4月6日更新。

血の濃さへ傾く椅子の夕焼け小焼け


空蝉は置き去り 父の闘病記


・1999年3月30日更新。

笑い袋を覗くと太き骨ばかり


思う存分ないた蛍の喉仏


・1999年3月23日更新。

雨上がりみないっせいにけものの貌に


菜の花は笑い袋をひた隠す


・1999年3月16日更新。

赤い傘くるくる君の四次元へ


父ふわり蝙蝠傘を開かせて


・1999年3月9日更新。

父はまた波と交わる神懸かり


まっすぐになろうなろうと傘の骨


・1999年3月2日更新。

鼻すじは道化どこまで青空か


父は子の梯子をはずす夏銀河


・1999年2月23日更新。

満開の桜に消えた少年ら


雲梯(うんてい)を家族一列進むべし


・1999年2月16日更新。

花吹雪浴びて真顔のちんどん屋


道化なる次郎の桜満開に


・1999年2月9日更新。

母の手の傷癒えてくるいぬふぐり


まんまるくなって祈らんヒトケモノ


・1999年2月2日更新。

躓いて笑って次郎駆ける駆ける


芽吹かんと水をたらふく飲み込みぬ


・1999年1月26日更新。

くしゃみまで父に似てくる影もろともに


笑い明かして一本の樹の伸びるを見つめ


・1999年1月19日更新。

青空願望蛍あくまで青く点る


夕立よこの青き身もつらぬけよ


・1999年1月12日更新。

雪の日の影にも雪がつもりゆくか


海彷徨 糸の切れはし握りしめて


・1999年1月5日更新。

木枯らし蒼々まっ正面を向きしまま


ある夜の父が舟唄暗唱す


柴崎昭雄・川柳作品
★柴崎昭雄・川柳作品 1998年・下半期掲載分
★柴崎昭雄・川柳作品 1998年・上半期掲載分
★柴崎昭雄・川柳作品 1997年掲載分


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