柴崎昭雄川柳作品

1998年・後半



・12月29日更新。

恋かもめ滑空しては舞い上がる


暁にみんな許して数え歌


・12月22日更新。

電脳原野 人恋い人の影あまた


泣き鴎ひいふうみいよ 神隠し


・12月15日更新。

沖の雪を凝視める 人形(ひとがた)にも痛み


父呼べば父母よべば母いわし雲


・12月8日更新。

隠れん坊の鬼があらわる芒道


流星群 身のうち焦がすほど恋うて


・12月1日更新。(再び近作!!)。

木枯らし鳴って父ことごとく囚われる


抱擁のこの身の芯に月光を


・11月24日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

糸電話切れておとこが黄昏る


完璧な空へ落書きしたくなる


・11月17日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

向日葵の涙が溜まるてのひらに


屑籠の中に不安なことがある


・11月10日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

千羽鶴闇夜がひとつずつ消える


二十五時告げて男が灰になる


・11月3日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

逆転の絵を描くペンが折れやすい


気まぐれな河童が皿を置いてゆく


・10月27日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

火柱を上げておとこが果ててゆく


一本のマッチをくれた父がいる


・10月20日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

海凪いで敗者復活戦になる


波瀾万丈おとこの髭に遺書がある


・10月13日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

とりたての恋にみずみずしさがある


肩車大きく育つこと願う


・10月6日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

人間になんかなりたくない影で


カラスの子闇の時間が気にかかる


・9月29日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

蛇口を覗くと笑う鬼がいる


自画像の途中で色褪せる絵の具


・9月22日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

この紐を引くとわたしが動きだす


ぎこちなく数をかぞえている別れ


・9月15日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

コーヒーの熱さで愛を確かめる


捕らわれの身となる雨の日の案山子


・9月8日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

この冬はいのちの坂のどの辺り


漫談をすると強さが増す吹雪


・9月1日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

刹那という出逢いが風の中にある


掌の中の岬が夜に溶けてゆく


・8月25日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

影踏みを抜けておとこの無精髭


一日に百遍も生きる話


・8月18日更新。(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

椅子取りに敗れてからの笑い癖


喜劇だと信じピエロの服を着る


・8月11日更新。1991年の作品です(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

どうすればあなたに逢えるあきざくら


騙されてやろうか雪が白いから


・8月4日更新。1991年の作品です(恥ずかしい昔の句シリーズ)。

振り出しへ駈けだしてゆく落日よ


終章に二つの嘘を証します


・7月28日更新。1991年の作品です(恥ずかしい昔の句)。

ジーンズが青く光って夏終わる


神様がぼくのサイコロ振っている


たんぽぽの白髪となって放浪記


・7月21日更新。

西行も芭蕉も連れて一人旅


古き良き時代の父権茶漬け食う


・7月14日更新。1991年の作品です。

嵐にも消えぬ蝋燭持った母


蝋燭が消えてわかった嘘がある


・7月7日更新

月光に晒すふたりのてのひらを


生き抜いたおとこの太い背骨だな


・6月30日更新

ゆうらりと父のぶらんこ五月に揺るる


切り札はハートのエース花曇り


・6月23日更新

家中に陽射しあふれて道化の家族


早春のますます冴えるコメディアン


・6月16日更新

少年がゆらりと狂う夜のさくら


仁王立ちの父が花吹雪を浴びる


春の野をでんぐり返ししてみるか


・6月2日更新

喉笛を春の産声ほとばしり


にんげんも桜も空もちんどん屋


さくらさくら散っても人のかたちして


柴崎昭雄・川柳作品
★柴崎昭雄・川柳作品 1998年・上半期掲載分
★柴崎昭雄・川柳作品 1997年掲載分


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