「桜の下」・KISEKI

咲きはじめたところから
桜は散っていく

大学の構内
満開の桜の下で
新入生たちが談笑している
その中のひとりに
花のひとひらの影がさして
ふと  おびえたような表情を見せる

咲き急ぐことは
散り急ぐことでもあるのだ

ある時を過ぎると
人は  何かを得るよりも
失わないことを大切にする
多くの人は気づかない
散らなければ
桜はただの雑木になってしまう

花吹雪の下で
そのまま  写真撮影
その時
シャッターの音とともに切り取られたもの
誇らしい笑顔たちと
そして。


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詩の投稿作品・1998年前半


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