「駱駝」熱帯動物園より・鈴木どるかす

怪我をしていると  旦那さまが叫んだ
目をこらして見ると
血の滴るような腫れ物が二つ
ふたこぶ駱駝の体を打っていた
なんだかひりひりと痛そうだ
うめき声も  なき声も
重苦しい声も  聞こえない
やつれた腹が痙攣している
こぶの下の大きな腫れ物が
ぴくぴくふるえている
真赤な腫れ物と  向かい合うように
何頭かの駱駝が膝を折って座っていた
砂漠の月を見ているのか
互いのやさしい目が  溜め息をつく
それが何だか痛みをやわらげているのか
腫れ物を背負った駱駝の目が  涼しく輝いて
昼の月に向かって吠えはじめた


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詩の投稿作品・1998年後半


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