「落ち葉」・わに

ゆっくりと身を震わせ,舞い下りる落ち葉。
色枯れて,端朽ちて葉脈の浮き出た落ち葉。
吹き降ろす秋風に,ついと腰を下ろす落ち葉。
全き重力に引き寄せられ,拒みながらも惹かれて腐葉土に寄り添おうとする落ち葉。

緑濃く、白陽と蜃気楼と宵の空隙と共にあった一葉は、瑞々しい厚みと柔らかさを捨て、象牙色の茸に身を任せる。
菌や粘菌の分解の呟きは、湖面の静寂の音に似て、ささやかな森の通低音を鳴らし続ける。
葉の残骸は時を経、腐食して形骸を留めずに土に帰る。
さりげない死。


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詩の投稿作品・1998年前半


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