「檻のない動物園」熱帯動物園より・鈴木どるかす

ふわふわと  わたしは
檻のないシンガポール動物園を歩いた
静かな糸でつながれている
動物の毛並みは柔らかで温かそうだ
猛獣の口は力が抜けて殺すことを知らないようだ
心が肉体を支配している  失楽園以前のイブのように
わたしも熱帯樹の下で  暑くてもカラッとした気持ちで
しずかに昼の食餌が配られているのを
無邪気な眼で追っていた
「わたしの日常と同じ」
と  わたしがうれしそうに言うと
隣にいる客が  なぁに  この人
という眼で  じっとわたしを見た


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詩の投稿作品・1998年後半


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