「わたしは、傘の中にいる」・海猫

さしだされた傘と
掲げられた傘

ぽつぽつ
ぽつぽつ

五月雨の中を
わたしは
驚きとともに
傘の中にいる

暗闇の数分前を忘れ
嘘のように消えた視界の前方に
鮮やかな虹の架け橋が蘇った

驚きに震え
喜びをかみしめ
わたしは
夢中で語り続けた

歩くだけの時間を
永遠に感知する瞬間を

歩くだけの空間を
静寂に感謝する瞬間を

歩くだけの存在を
生命を甘受する瞬間を

満足げな足どりとともに
五月雨の路地裏は
時を止めていた

ぼつぽつ
ぽつぽつ

記憶の襞に笑顔を刻み

今わたしは
喜びとともに
傘の中にいる


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