「ワインを買いに行く」・星粒


すこし眠れなくて
さがしてみるときに、
いつも決まって無い

月が金色にかがやくころ、
影絵の中へ入りこむように、
ワインを買いに歩いて行く


無表情な店員の店ではなく、

すこし遠くの店まで

だしわすれていたはがきを
ジャケットのぽけっとに入れて、

夜の群青に染まった、
名も知らない花を
踏まないように。


しまったドラッグストア

うさぎの模型が、
白い満月を見上げている

どこにも旅をしていないから、
すこし
位置を変えた構図の中に入るのは、
きわめて心地よい

家路をいそぐ人の、
銀色の自転車が輝く

そうして
わたしだけは、
すこしきついサンダルから、

小指だけはみ出しているけれど、
風の音色に誘われて

ワインを買いに出かける

夢の揺り篭の中の、
ワルツを踊るように




●作者へのご感想はこちらへ●


詩の投稿作品


目次へ戻る