「手」・レトロ

小さな子を打った手を
憎みきれず
ふと割れた皿のかけらで傷をつける

こうしてひりひりと血を流し
わたしはまた
わかっていながらも
繰り返してしまう
「母」という権利を振りかざして
サターンのように子どもを追い詰める

マリアのように
子を抱いたわたしを見た
ひとびとは
溜息をつき離れてユク

葛藤がはじまるーー
抜け穴の見えない
決して見えない葛藤がーー

そして一夜がすぎれば
なにもかも忘れ果て
母に擦り寄る子どもーー

わたしの手は
ひとを打つための手ではない

汚れてゆく手を
いくら洗っても落ちない


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