「ピアノ」・レトロ



いまどきの電子オルガンは
楽器それぞれの音色が流れる。
音の存在を覚えた子は
夢中で叩く
白いキー

頭から流れる音符と
かみ合わない
指先の鈍重さに
彼女はときおり
いきり立って叫ぶ

ママのせいだよ、と

これからもわたしは、

彼女が想うままにならない
時

肩代わりしてあげられるだろうか

そうした
苛立ちを

人生に淘汰されながら、
河の水にこれから
幾度でも削られて行くこの、
無垢な指先が

そっと丸まりながら、
音を
奏でる




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