「おんなの庭」・星粒


おんなの庭にコケは生えない
死ぬまで生えない
血の花びらはひらく何枚もひらく

おんなの庭に蜘蛛は這わない
死ぬまで這わない
蝿はたかる何匹もたかる


おんなの庭に豊穣の丘ありて
その丘を乳房と呼ぶ

おんなの庭に禁断の園ありて
その地をひめごとと名づける


おんなの庭の
河は氾濫する
愛した怒涛が庭をふるわせ
摘み取られた草も
処女のいずみも
すべてがあふれて
無にかえる


おんなの庭は跡形も無く
おんなの庭に
墓碑がある


おんなはおんなという
河になるために
血を流し切り
おんなはおんなであるがゆえ
乳房の丘を
荒らされて


やがて


嵐の静まりとともに


おんなは

おんなに生誕する


雲間から真珠の月

男が丘に立ち
両手を上げて
空に立つ


はちきれる音色



命の
数珠玉が繋がり


男の腕に
無垢な生き物がそっくりかえる

おんなの庭に
蘇る
薄緑の芽
水の一滴


生を抱いて男が
水で清めるその生き物

冷たさにこわばり
のばした関節はふくらはぎとなり
桃色の朝日に冴え渡る


人生が
おんなの庭に芽をつける

おんなの庭に花は咲かず
おんなの庭に命が灯る


おんなは赤い谷間から
遠い
未来を見つめる




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