「音楽会」・レトロ


若い女の先生の、
白い巻きスカートが指揮をとると、
こどもたちは
ドングリがころがるみたいに、
晴れ舞台を踏む。

先生は
若いから、若い木のように、
元気一杯に
どんぐりを揺さぶる

どんぐりは
歌い出した。

そこは
屋根の無い、
おかのうえのように、
まだ、

恥じらいとか。
ひねくれのない、

無垢な叫びが、

そこらじゅうに
こだましているのだ。

熱くわきいづるもの

むねに。

どんぐりがいつしか
太い幹に
変わる日に


きっと、
このきらめきのときを、

想うのだろう

そんなしあわせと
すこしの侘しさを

大人達が感じるころ、

歌は
佳境にはいり、

ぼうっとしたとき
浮かんだのは

きっと

嬉し涙

拍手は、
なめらかな海の響きとなって
会場に

うちよせていた




●作者へのご感想はこちらへ●


詩の投稿作品


目次へ戻る