「思い」・カテコール


大きな道路から外れた静かな住宅街へ足を運び
いくつかの曲がり角を経て
静かに立ち並ぶ建物を見送れば
その細い道の行き着く場所に
空に届きそうな石段が見えてくる
階段の両側には
夏を惜しむ植物が次の季節のために
競って根を広げていくのが感じられ
そんなあわてた心の内に
今年も忘れ物だらけの季節を思い起こしてみる

「根は伸びたかな、身長は?」

少しづつ雲は近くなってゆき
やがて空が一番低くなった場所に
公園はぽつんとあった
いつもの通り
やはり淋しげにしている公園は
背後に流れてゆく雲に比べて
少しのんびり生きているように感じられた

「ゆっくりでいいね」

せわしくなっていく町の足音の上には
近づく秋風の通り道が
ぼんやりと浮かび上がってくる
そして風の向きの変わった景色が
目の中に映った時

百日紅の季節は終わっていた




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