「野良犬」・蒼夜広助

頭を撫でられ  微笑んでもらう
抱いてもらい  温もりに微睡む

首輪と共に手に入れた  堕落  と言う名の鎖
尾を振り  身を擦りつけながら

ふと 思う

牙を抜いたのは  いつなのか

同じ味  同じ匂い
雑多でありながら  唯一の色に染まる

飢えた日々を   思い出せない

鬱憤晴らしで  蹴りつけられても
唸ることさえ  忘れかけている

噛みつくことなど  不思議になってしまった

牙を忘れた 現状(いま)

己と言う名の  牙を忘れた

生きたぬいぐるみ


慈しみの果実を  頬張っておきながら

自分だけでは  歩けもしなくなった
辛いだけの  厳しいだけの  外が
恋しくて仕方ない

枯渇しかけた  勇気  と言う名の

吠える力  源となる力

牙が  欲しい




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