「日常画」・レトロ


冷蔵庫の小扉を
そっとひらいて
はじまる


そして
いつも薄っぺらな財布は
姑がくれたもの


雨粒になりそうな
空のなか

まだ
補助輪なしの
チャリに乗れぬ子供を乗せて

がたごと

どんな
性能の良いチャリも

たちまち
パンクしそうだ。


どぶ川の勾配は
ゆるやかに流れる

草が背をのばして

空に届きそうに

チャリの轍でかけぬける
蒼い
水のうえ


パチンコ屋の
城みたいな建物


盆休みのスーパー

かけだす少年を
しかる
若い父親の
胸毛のぞくシャツ


ソフトオレンジという
生クリーム入りの
おれんじに
夢が溶ける


ざわめきに
耳を
ふさぎたいようで


そとの雨の音だけが

ふっと
匂いとともに
流れこむ

日常の景色を

日常の世界に
埋没しながら
眺めている

わたしは
ひと




●作者へのご感想はこちらへ●


詩の投稿作品


目次へ戻る