「夏の庭」・なっつ


猫の額ほどの庭に
ほんとうに猫が横切った

小ざかしく
寄ってきやしない

それよりハーブの茎が
伸びすぎたから
太い根っこはどうにも切れない

うら若くない人妻が
足にゴム長靴
スカートをはいて
人様に見せられないが見せているけれども

ざくざくっと
土をかまで掘り返す

かえると目が合った
葉っぱを忘れられず

一握りできる
虫にもおびえる始末

夏の庭は全く
木陰ない

長屋風の庭は
よその家丸見え

聞きたくもないのに
借金取りが
隣人の玄関で
ねばっている

お金持ちのお医者様は
クラシックをお聴きのようだ

右隣のおばばは
そっと障子の穴から
二つの黒目
光らせているね


構わない

それどっこらしょ!

恐ろしいといわれる
安産型の腰を

どっしりとつきだし

雨上がりの草を抜こう


猫の額ほどの庭の
愛車の下に

ちょっと冷たいスペース

猫
お昼ね

雲
わたあめ

ちょっと

汗拭う
南風って

甘い


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