「末路」・なっつ


彼は

しかたなく低空飛行に入る。

上空には

腹を満たすものはなし。

彼の、

獲物のねむりをさまたげない
ための
超音波

のような飛ぶ音

却って獲物を
揺りおこす。

暗闇で
いくつもの大きな
カスタネットが鳴りながら

彼を追う。

はさまれたら終わりだ。

蚊取り線香の

赤い灯火が

彼には

墓場だ。


捻られた空間で

彼はもがいた。

生き血を吸う

その習性を

罪悪ともしらず

うまれてきた星にて。

太い腕のカスタネットが

鳴り響いた。

闇をつんざく

快い音

と共に

彼は

線香花火の

最期のひとすじとなって

おちる。

みたものは

ふっとおちる

命の揺らめきと

冷たい畳の目。

寝入る

獲物たちの

かすかな息と

風に舞い始める

彼の亡骸。

鈴虫のコンチェルトが


弔いの音色か。


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