「薬袋と白湯のてえぶる」・レトロ


僕はそれほど生に執着がなく
彗星のような
いのちでよかった

おもいがけず
生命力がぷらすにむいて
とまどう夕暮れ。

いちりんざしの
硝子瓶

僕のいのちの日々に
かかせなかったもの

それは
愛するひとや
あたたかいことばでもなく

薬袋と、
白湯でした。


薬がぼくを
生きさせているのか

ぼくが薬にあまえているのか


それでも白湯の
砂のような味覚に
僕はねむりをさそわれる。


夏のあおぞら

はまべのささやき

僕にはきこえる耳も

感じるひとみも

なみうつこころもないけれど

こんど生まれる

水の底では

すべてが愛しいだろう。

薬袋と白湯のてえぶる

プールの水玉が

はねてきそうな

夏も盛りの午後でした。

       


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