「この子を産んだ朝」・なっつ


もうじき
この子を産んだ朝がふたたび巡る

あれは緑揺れる街の
小さなびょういんだった

その朝
わたしはおなかに
氷をのせられた
産んだあとのおなかを冷やしていたのだった

局部は切開のため
じんと痛んだ

この子は今と同じ瞳で
わたしの真横に眠った
余りにちいさく
寝返りを打ったわたしの体に
つぶされそうなほど

わたしは泣いていた
それは
先のことを想った為だ

局部の痛みも
腹のつかれも
すべて運び去るこの子の
寝顔

いつしか
どこの誰かに嫁ぐ日がくる

娘を産んだ定めだが
想うほどに
素直な涙はとめどなく
流れた


ちいさく白く
夏に降った雪のようだったこの子


きょうもこの子の
寝顔に
涙をふっとこぼし

夜が明ける


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