「カンムリ鷲 (Y氏へ)」・とみたゆきえい

小鳥が飛び立った
舞い降りる所がないままに飛び立った
雲まで高く 視線は遠く
国境を越え 山を 海を跨ぎ
降りる場所の無いままに飛び続ける

無我夢中ではない
見えてくるものすべてが彼の目的である
感じ取れるすべてが彼の糧である

舞い降りる場所など無いのだ
空中で成長を積み重ね
自由で孤独な旅を続ける
体力の限り 触覚の働く限り 飛び続ける

翼が大きくなる
胸前の筋肉が痛みをもって逞しくなり
羽根の一枚一枚は 付け根から
樹木が成長するように 立派になる
風の中に生き 風をつかむ事を知り
羽ばたく数も減ってくる

得たものを思い起こすとき
知恵の悲しみを覚える
舞い降りたならば
仲間を鏡に 自らの姿を知るだろう
眼光は輝き 生き抜いた嘴は鋭く
逞しさは威圧感さえ与える
公園で餌をついばむ中に戻って
今更 小鳥ですとは 誰も信じない

舞い降りる場所はやはり無いのだ
小鳥は既に進化している
まるで すずめが
カンムリ鷲に化けたかのごとく

選ばれし小鳥よ
次は何に進化するのか




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