「田舎町」・星粒


わたしは雪がきらいだった。
除雪車が日ごと、
大きな顔をして走る待ちで、
辟易しながら、山を睨んでいた
でも、その圧倒的な
力に勝てず、

嫁にきた土地の、
因襲を白く煙らせながら
わたしを、生まれた町から隔てた。

わたしはそれから、
心の無い加湿器になった。
いつも、
冷たい息吹のなかで、
音もたてずに泣いている

時には、
思いきって泣いても見るのだが、
樹海を思わせる
空の冷たさに、
首をしめられそうにもなる。

夢の無い雪が降る街

勤勉な男は趣味も無く、
雪から野菜を守るだけ。

無口な女は、
冷酷な氷水のなかでも、
野菜を漬ける


そして、
わたしはにちようびになると、
嘘の用事をつくっては、
彼の生家には行かない。


わたしははじめて、
蒼いそらを仰ぐ


ワタシワブアイソウナメンドリニハナレマセン




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