「フレア」・帰生


薄明の内側で
羽化した許(ばか)りの翅を自慢げに揺らし
姿を変えた少女が発(た)っていく


大人達の讒言にただ頷き続け
閨(ねや)の端隅で泣き頻り
…ぶるぶると握り締めていたスカート


膨らませた頬を引っ込めて
悪戯ぽく にっと笑った
その憶えさすら 慰みの中で消え失せた



染み汚れた布の解れがつ…、と割け
羽交いが本心と同化した
掻き上げた髪が垂れ落ちたその時には
…もう、立羽は籠から逃げ出していた


片月の方角を見据え
…颯と、燦爛と輝く光帯を越えて…
…虹色の濁りが宙に膨れ…
晴れ渡る白い空だけが 均した後の地表にひらひら落ちた


…我慢していた言葉の分だけ
幻想に鮮やかな童話を紡ぎ出す…


芳魂散りて
茫然と屈み込む「主」に囁きかける
夢後に又逢いましょう、と



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