「船着き場」・レトロ


まぼろしの石をさがしていた

こどものころ
とうとうみつからなかった


したくないこと
したいこと
みつからなかった
心のポケットに


いまかすかにためたもの

汽船がやさしい
鼓動のようなリズムをたてて
水を切るように
白っぽいしっぽをくねらせながら

この音を
この光を
かんじるたびに


大人にはなっていても
夕暮れの
つんとする
風の味おもいだす



うちのめされていた
心のマストが
しゃんとする


ひとの重みできしむ
小さな橋
小さなさかなが
針金のように輝いている


ここはいつも
うつむいた老人や

しかられた子供や


はみだした大人が
そっとたたずむところ

そのむこうを
都会の列車が
切っ先のように空間をきりさいて


おとなしいネオンが
もうすぐ
騒ぎ出す




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