「温かい幹」・星粒


あなたは
かたい木の幹だ
どんな風にも揺らぎはしない

陽射しにそっと温められ
わたしは
幹に凭れた

その
生きている鼓動を
いつも聞かなければ
体温を
感じなければ

ちっぽけな

枯れ葉色の
宇宙に投げ出されてしまう

あなたの
骨格が薄い頃
あなたは
まだ幹ではなかった


あの柔らかな
風に似た香りは微かにあるけれども

ただ
がっしりとした太い幹が
あなただ
いまは


温かい
ということばは
秋のあなたの
幹のためにある


幸福とは
なにかと定義づけるのは

まったく

無意味なことだ


ただ
幹に凭れて
雲について
鳥について

ひと
について
語ればいい

そうして

温まりゆく

ものたちの

叙情を

ふたりで

耳にしたい

空が

暮れる

まで




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