「雨のアズマヤ」・なっつ


いつもとおりすぎた
風景であっても
そこにとどまったことがなかった


とつぜんの雨にあい
丸屋根のアズマヤにはいった


長椅子にねそべって
みあげたら
丸いてんじょうに
スプレーでらくがきがあったよ


そのひともたぶん
こうして寝そべっていたのだろうな

愛するひとの名を噴きかけて
こうして
ながめていたのだろうね

雨がベールとなって
おだやかにさせる
僕のこころを。


情熱にまかせて
かけだしそうな心に
やさしいぶれいきをかける雨


ひんやりと
雨のおわる風がながれて
僕はかさをそっとたたもう。


すると
隔たれていた葉のきらめきも

あすふぁるとに
ちりばめられた
割れた硝子瓶のかけらも

まぶしそうに映るんだよ。


僕はこうして君いがいにも
きれいなものを見つけて


こころを一杯にするんだ。


そうすると
君にかたむけた微熱が

そうっと虹の
りぼんになって

そらにそよいでゆく


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