「灯り」・なっつ


どうしても好きになれない
欠けた真珠みたいな
山間の
灯り


閉ざされる
夜の影絵と

よりそう灯り

わたしは
いなかを
軽蔑していない


けれど
どうしても
好きになれない


あの
迷宮の欠けた真珠の
真っ白な
灯りには


草からのぞく
金色の野性の瞳や


羽音を不気味に
揺るがすコウモリの
黒い匂いや


ひっそりと
寝入る
田園のひとびとや


重い石でふさがれた
つけもの樽が
月夜に照らされて


あるく人は
ふりかえるが


あるのは

眠る山肌の
鬱蒼とした
吐息


カーブする
急勾配を
すぎれば


手にとどいてしまう
灯り


わたしが
異郷と
こころで詠おうと


その
空には
光の熱帯魚は
泳いではくれぬ


ただ
水をたたえたような
まるい大地に


落ちている

欠けた真珠が

白くただ白く

さびしい迷路を縁取る



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