「声」・KISEIKI


おいで

もっとちかくに

ぼくはみんなのてのひらに

むすうにわかれて生きることをのぞんでいたけれど

色をつけわすれた町のゆうぐれに

こうやってひとりでたっていると

半径1メートルの円のなかを

手さぐりでまよいながら

生きてゆかねばいけないことがわかる

じぶんひとりぶんのおもさを

ささえそしてくだき

蝶のようにとびたっていくものを見殺しにしながら

季節をひとつずつかぞえていく

うしろむきにほどけるぼくの時間に

ほんとうの言葉などなにひとつなかった

しんでいく花をいろどるあさつゆに似た

かなしみ

水のふかさをはかるように

ぼくはもういちど

ぼくにそっと声をかけてみる


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詩の投稿作品・1998年後半


詩の投稿作品


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