「初凪」・溝江 豪

もはや
廃船のマストが
老漁夫の海の総てである
その先の千切れ雲た舫っている

ほのぼのと白みかけると
雲にマストに彼の顔にと茜色が射してくる
見る見る変わる暁の色
水平線がゆっくり初日を押し上げる
黄金の雫を滴らせ生まれてくる日輪に
打ち鳴らす柏手の影はあまりにも小さい
しかし
その穏やかな姿は聖(ひじり)のごとく見える


詩の投稿作品・1998年前半


詩の投稿作品


目次へ戻る


●作者へのご感想はこちらへ●