「はぐれ雲」・原 静鳴

僕はきっと
大きく欠落して
生まれてきた

夜は深く長く充足して
夢のありかを星の彼方に隠している

はぐれ雲のように
影を選んで僕は歩く
欠落したもののために
生かされて

僕は凍ったアスファルトの上で途方に暮れる
街灯には虫たちがぶつかっている

いのちあってさいわいあり!

欠落を知るものよ
幸せの向こう岸へオルカのように水を割り
ずんずん進んでいこう

あの島の頂に
虚空へとまっすぐと伸びた白い腕が見える
腕はきっと夢見ている

大きな欠落は幸せを噛む凛とした歯に入れ替わる
確かな時の呼び声を
そっと頬に抱き寄せて
何枚もの浜辺を巡り
誰もが老いる冷たい流れの両岸で
僕は僕のいのちと向き合っている


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