細く長く

「編集後記」と題して、毎週日曜日にブログを更新しているのだが、2回に1回は題材探しに苦労する。技術的な意味でのブログとは単に掲示板の変形であるから、(違法なものは別として)いかなる文章でも投稿できる。しかし大抵は日記、或いは仕事や趣味に関する話題といったものに使われている。しかも多くの執筆者は「話題があれば書く。なければ書かない」という姿勢を取っていて、私のように「話題の有無に関わらず、毎週同じ曜日に1度だけ書く」という人は少数派に思える。

今更、1年以上続けてきた計画を変更するつもりはないが、もし仮に変更して、これから毎日日記風のことを書いていこうと決めた場合のことを考えよう。何を書けばいいか?とりあえず自分に関する出来事。しかし、これには限界がある。余りに個人的な事情が絡む話は書けないからだ(相手が見た場合のことを考えないなら別だが)。そこで「時事問題」が出てくる。つまり、その時話題になっているニュースについての感想文を書けばいい。加えて、それにちょっとした雑学、例えば中国の故事などを持ち込めば、或る程度太い文章になるだろう。

だが、書く前にひとつ、考えておかねばならないことがある。口で話した言葉は瞬時に消滅するが、文字はかなりの長期間、――もしかすれば死後も尚、残存するということだ。又、何かについて感想を述べる場合、そこから主観を完璧に排除することはできない。したがって、そのとき何を思っていたかが半永久的に記録されることになる。これは重大である。たまたま、勢い余って異常な文章を書いてしまっただけでも、「当時、彼は錯乱していたようだ」と評価されかねない。なるべく平常時に書くべきである。

――その結果がこれである。私は全部で1500文字くらい書いたはずであるが、半分を削ってしまった。それこそ、勢い余った部分を削除したのである。もう少し長く書きたいが、あとはどうでもいいことばかりなのでやめる。……どうでもいいことは引出しの中にしまっておこう。そうして時間が経っても消滅しなかったなら表に出して日に当てよう。きっとそれは、大切な事なのだろうから。