Xbox360 −ちょっとだけ進化 ★★★★☆−

最初に書いておきますが、Xbox360 はまだ出たばかりです。したがって、今後開発されるゲームはもっと本体の性能を生かしたものになるだろうし、また本体についてもいくらかの改善がなされる可能性があります。ここに書いてある評価は、あくまで発売直後に「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」をプレイしたときの感想に基づいていることに留意して下さい。

演算性能

3 Core, 3GHz の CPU を生かした A.I. の進化には驚きました。自分がコンピュータに勝つためにするのと同じことを、コンピュータがしてきます。一方でグラフィックスについては、エフェクトこそ少し進化したものの画質は以前と大差ありません。HD 対応のテレビならわかりませんが、少なくとも普通のテレビでは違いを実感できないでしょう。

入力機器

相変わらず持ちやすいコントローラです。ボタン配置が前回と少し変わっており、白黒ボタンが LB,RB という名前になって、コントローラの前方(左右トリガの上。ちなみにトリガは LT,RT)に配置されました。また Start,Back の位置も、コントローラの中央に変わりました。さらに「Xbox ガイド ボタン」というボタンが追加されています。このボタンを押すと、いつでもシステム メニューを開くことができます(このあたり、マルチ コア CPU の威力を感じます)。そのとき、ゲームはポーズ状態になります。便利なのは、このガイド ボタンによって本体の電源の ON/OFF ができるという点です。しかもワイヤレスなので、例えば本体がガラス戸つきのテレビ台に収納されている場合に、特に便利です。ガラス戸を間に挟んでも通信できます。トリガを押し込むときに LB,RB を間違って押してしまうことがあるという点を除けば、ほとんど完璧なコントローラだと思います。

ただ、次の条件に該当する方は、電池不要の有線コントローラの使用をお勧めします。
・電池の消耗が気になる
・電池が重い
・電波を浴びたくない
・正確に操作が伝わるか不安
・パソコンでも使いたい

あと、本体に USB 端子を備えているので、普通の USB キーボードなども接続できるようです(もちろん有線コントローラも USB 接続です)。

互換性

MS のサイトで配布されている更新データを適用することで、Xbox 用のゲームをプレイできるようになります。プレイ可能なゲームはまだ少数ですが、これから増えていくはずです。ただ現段階では、多少動作速度に問題がある気がします。ハードウェアでなくてソフトウェアによるエミュレーションなので仕方ないかもしれませんが、ちょっと複雑なシーンになるとすぐに限界が見えます。レーシング ゲームなどでは特に顕著です。ハードウェアの構成を見る限りでは、このエミュレーションは、マックでウィンドウズ専用のソフトを動作させること以上に難しいことだと思いますが、ぜひとも改善して欲しいところです。

騒音

DVD や Xbox 用のゲームをプレイしているときはそうでもないのですが、Xbox360 用のゲームをプレイするときにはうるさく感じます。原因がファンにあるのか、ドライブにあるのかは定かではありませんが、ちょっと設置場所を工夫するなどして対処したほうがよさそうです。なお、巨大な AC アダプタにもファンが搭載されていますが、こちらはかなり静かです。

総評

全体としては「ちょっとだけ進化した」という感想を抱きました。とても素晴らしい世界が展開されると思って買うと、たぶん期待はずれになると思います。出力装置(テレビ)が変わればもっと性能を体感できるかもしれませんが、HD 対応テレビは、現状では簡単に手を出すことができない価格なので、なんだか「宝の持ちぐされ」という言葉が合うような気がしています。言い換えれば「時代を先取りしたゲーム機」なのかもしれません。もちろんパワフルな CPU を生かした高度な A.I. については HD 云々とは無関係なので、その性能を誰でも十分に享受することができると思います。

18th December 2005