ラリースポーツ チャレンジ 2
 −ラリーゲームの最高傑作 ★★★★★−

ラリースポーツ チャレンジ 2(以下、ラリスポ2と表記する)は、本格的にラリーを楽しめるゲームとして評価の高かった前作を、あらゆる点で上回る作品に仕上がっていると思います。

本来のラリーというのは、タイムの長短を競うものでなく、規定タイムに一番近いタイムでゴールした人が優勝するというものなのだそうですが、それだとテレビゲームとしてはあまり面白くないのか、ラリスポ2や他のラリーを主題としたゲームでは、とにかく一番早くゴールした人が優勝するという形式になっています。レースタイプは五種類あり、サーキットを周回するタイプの「ラリークロス」「クロスオーバー」「アイスレーシング」、どこかの荒野や雪原、峠道を突っ走る「ラリー」「ヒルクライム」に分かれています。周回タイプは予選と決勝の二つからなり、最初に一人だけで走行して、そのタイムによって決勝のグループが決まります。決勝ではコンピュータも含めて 4 台で同時に競争します。路面は舗装されているところ(ターマック)とそうでないところ(グラベル)があり、水たまり(マッド)ができているカーブではかなりスピードをロスします。クロスオーバーのコースはいわば二重構造になっていて、一周目は外側、二週目は内側(または逆)を走ります。決勝ではコンピュータと一対一で走りますが、プレーヤーは外側スタート、コンピュータは内側スタート(または逆)です。外側・内側といっても、コースが立体構造になっていて、まさにクロスしている箇所もあるため、長さは同じかもしれません。クロスオーバーもターマックとそうでないところがありますが、こちらはマッドでなくてグラベルなので走りやすくなっています。アイスレーシングは文字通りアイス、凍結路面の競争です。ラリークロスを完全に氷上に移した形です。当然スピードは出ませんが、コーナリングのとき、アクセルを小刻みに踏んで(押して)ウォンウォンウォーンとドリフトするのが爽快です。反面、路肩の雪に乗り上げるなどしてスピードをロスすると加速するのが大変なので、あまり調子に乗らずに丁寧に攻めるのがコツです。ラリーではアイス以外のあらゆる路面が登場し、その中に、有名なモンテカルロも含まれています。私としては、コースのほとんどがサンドからなる、オーストラリアのレースが好きです。モンテカルロは逆にほとんどターマックですが、一部、グラベルになっているところがあります。デフォルトのセッティングがターマック用のものになるため、ターマックと同じ調子でグラベルを走ろうとすると曲がりきれず、確実にコースアウトするでしょう。ちなみにラリスポ2では、コースによってセッティングが自動的に変わります。また、ヒルクライム用のマシンやアイスレース用のマシンなどに車種が分類されています(前回はごちゃまぜになっていたので、明らかにヒルクライム向きのマシンでラリーを走ることもできました)。オーストラリアとモンテカルロのほかには、グレートブリテンとスウェーデンがあります。グレートブリテンはターマックとグラベルが半々ですが、危険なタイトコーナーが多い気がします。スウェーデンはほとんどが雪道(スノー)です。アイスレースよりは曲がりやすいのですが、いかんせん、走行すべきところもそうでないところもすべて雪でできているので、どこが道路なのか区別がつきにくい場所があります。そのうえ、道路といっても雪原に彫られた溝といった程度のもので非常に狭く、何度も走ってコースを覚えないと、簡単にコースアウトします。おまけに画面全体が白いので、長時間見ていると目が痛くなってきます。走っていて、「まだゴールじゃないのか」と思うことがあります。

ゲームモードは五種類あり、一人でタイムを競う「タイムアタック」、コンピュータと対戦する「シングルレース」、「アマチュア」「プロ」「チャンピオン」「スーパーラリー」とレベルごとにコンピュータと対戦する「キャリア」、コントローラを二つ以上つなげて人間同士で対戦する「マルチプレーヤー」、オンラインで対戦する「 Xbox Live 」があります。ここではキャリアモードだけ紹介します。コンピュータのレベルについては、決して強すぎないと思います。そう考える理由は、スーパーラリーにおいてさえ、一度くらいコースアウトしても(コースアウトする!と思ったら即座にリセットすると)勝てるということです。もしコンピュータが鬼のような強さであるなら、コースアウトは許されないはずです。キャリアモードにおいては、レースはチャートに従って行われます。統計図のようなものがあって、その左端から始めていって右端に到達することが目的です。順位に応じたポイント制で各レベルをクリアしていくため、一つのレベルをクリアするのに全レースを走る必要はなく、必ずしも 1 位でゴールする必要もありませんが、私は中途半端にクリアしたくなかったので、全レベルの全レースを 1 位でゴールしました。22 時間かかりました。レースが全部でいくつあるか明確にはわかりませんが、おそらく 300 はあると思います。

グラフィックスに関しては前作を数段上回る出来で、パッケージ裏に「ラリーゲームの最終進化形」と書いてありますが、少なくとも Xbox の性能ではこれが「最終」だと思います。走っていくうちに壊れるバンパー、ボンネット、砂塵や泥で汚れていくボディ、粒子の一つ一つまで再現しているかのような煙、ガラスに当たると流れる雨滴など、グラフィックスに関しては文句のつけようがありません。ゲーム中はちょっと画質を落として 30fps で、リプレイは高画質にして 15fps で描画しているようですが、これは正解だと思います。ゲームがゲームなんで、プレイ中に周りの景色を楽しんでいる余裕など全くありません。画面右下にタコメータやスピードを表示しても、それを見る暇さえないほどです。私は臨場感を出す目的で、カメラはドライバー視点(よくあるバンパーやボンネットではない)で、他には何も表示せずにプレイしています。さらにヘッドホン、グラサンを着用すると、まさに気分はラリードライバー(笑)。ただ、ひとつ不満なのがコドライバーの指示のタイミングが遅いときがあるということです。先の見えないバンプで飛ぶ直前に、「スクウェア・ライ」なんて言われても間に合いません。そこは、経験を積んで対処するしかありません。

ラリスポ2は、前作で不満だったところが見事に改善された、ほぼ完璧といってよい作品に仕上がっていると思います。プレイしていて、本当に走っているかのような「恐怖」を感じるレーシングゲームは、まだほとんどないと思います。最後に、プレイするにあたってのコツですが、完全に舗装されたサーキットを走るゲームとは違い、常に同じ走り、特にコーナリングをするのは困難です。一般人には不可能といってもよいでしょう。ちょっとした操作のズレから、大きな挙動の狂いが生じることがあります。そうなったときに、瞬時に対応して挙動を修正することができるかどうかが腕の見せ所だと思います。これははっきり言えば経験以外の何物でもありませんが、多くの場合、早めのブレーキングを心がけると上手くいくようです。早めにブレーキをかけるとタイムが遅くなる心配がありますが、逆に遅すぎて体勢を崩したりコースアウトしたりするくらいだったら、早めに減速したほうが良い結果が出ます。時速 180km でコンマ一秒走れば 5m 進むという事実は、ブレーキがコンマ一秒遅れただけでコーナーを曲がるときに 5m も外側を走ることになるという悲劇を意味します。タイトコーナーでは確実にコースアウトです。それよりは早めにブレーキをかけ、早すぎたと思ったらブレーキを緩めるなりして、微調整すればよいわけです。前述のようにコンピュータはそれほど強くないので、これでも十分勝てます。あとは、現実の世界では当然のことですが、絶対安全だという自信が持てない場所では慎重に走るようにすることです。以上、プレイするときの参考にして頂ければ幸いです。

23 July 2004