ジャンルとしてはレーシング ゲームであって、資金を稼いでマシンを買い換えたりアップ グレードしたりして、敵車と競争するタイプのものです。いわゆるシミュレータ系ではないし、一般車両、さらには警察車両まで走行しています。この警察車両に見つかると、ゲームは追跡を振り切るモードに切り替わります。これがこのゲームの最大の特徴でしょう。
初めは追いかけてくるのが普通のパトカーだけなのですが、違反や逃走を繰り返して警戒レベルが上がると、次第に、高速な追跡専用車両、ヘリ、真正面から突っ込んでくる重量級SUV「ライノ」など、警察の追跡も過激になっていきます(さすがに某GTAの「戦車」は登場しませんが)。しかもただ追いかけてくるのでなくて、プレーヤーを囲い込むようにするあたり、AIの高度さを感じます。また、複数台の車両を横に並べて道路を封鎖(ロード ブロック)したり、踏むと即座にパンクしてしまう「スパイク」も設置されます。
それらをプレーヤーの「テク」で回避し、逃げ切るところに、このゲームの面白さがあります。
まず「シナリオ モード」から説明しますが、詳しいストーリー解説は省きます。このモードでは、プレーヤーはブラック リストの頂点を目指し、15人のライバルを倒していくことになります。シナリオを進めていくにしたがって、新しいマシンやパーツを購入できるようになります。もちろん新しいマシンほど基本性能が高いのですが、今使っているマシンをアップ グレードしたほうが早い場合もあり、よく考える必要があります。また、最高性能のパーツを装着すれば、どの車でも同程度の性能になるようなので、趣味で選ぶのも一興かと。パーツなどの価格は、さほど資金集めに奔走しなくても購入できる程度に設定されており、比較的サクサクと進みます。
そして15人を撃破し、ついにブラック リストの頂点に君臨したプレーヤーを待ち受けていたのは、……略。
次に「チャレンジ シリーズ」について。これは決められた車両とコースを使って、与えられた目標を達成するモードです。例えば指定時間内にゴールに到着するとか、指定回数以上スパイクを回避するといったものなど、68個のチャレンジが用意されています。これも最初から全てプレイできるわけでなく、徐々にロックが解除されていきます。使用する車両の中には、かなり特殊なものもあります。
他には「アーケード モード」というのがあって、練習や対戦に使用します。
シナリオの重要部分ではCGによるムービーが挿入されますが、そこに登場する人物があまりにリアルなのに驚きました。それもそのはずで、どうやら実際の人間による演技と、CGによる背景とを、映画の技法を使ってうまく合成しているのだそうです。全体的にぼやけて見えますが、それも技術のひとつとか。ただし、本当のCGによって描画される人間は、お世辞にもリアルとは言えません(といっても逮捕時にしか現れませんが)。
車や周囲の建物などについては、初代 Xbox のゲームより少し綺麗になったという程度です。――D1で見た限りでは。これがD4で見たらどうなるか、もし機会があれば試してみたいと思います。
ドラッグ レースは余計だったと思います。というのも、いつもATで走っている私でさえ、勝敗を決するのがシフト アップのタイミングではなくて、単に「クラッシュするかしないか」となってしまっているからです。あとはプレーヤーのマシンとコンピュータのマシンとに、極端な重さの違いがあるということ。まぁ設定上は同じなんでしょうけど、衝突するとプレーヤーだけが吹っ飛んであちらは微動だにしないあたり、計算のいい加減さを感じます。それに追突時の一般車両の吹っ飛び方は冗談としか思えません。相手が警察車両の場合は、比較的まともな力学になっているようですが。
警察の追跡を振り切る快感を味わえる数少ないゲームで、「逃走本能MAX!!」というパッケージ裏面の宣伝文句のとおりです。また、本体と同時に発売されたゲームであり、かつ専用でないことを考えれば、細かい減点対象には目をつぶってもいいかなと思います。個人的には、警察車両を操作して逃走車両を停止させるようなモードが欲しかったところですが(99年発売のハイ・ステークスにはあった)。
とにかく面白いゲームであることは確かですが、次回作が本体の性能を最大限に生かしたものになることを期待しています。
22nd January 2006