ニード・フォー・スピード カーボン

1, 基本システム

根本的な部分は、前回とほとんど変わりありません。シナリオとチャレンジの2つと、あと対戦用のものが数種類あります。シナリオ モードにおいては、バトルをクリアしていくことによって資金を稼ぎ、新車やパーツなどを購入し、最終的に全てのバトルをクリアすることを目指します。あまり乱暴な運転をすると警察に通報され、見つかり次第追跡されます。捕まると違反点数が増えていき、上限まで達するとマシンを没収されます。

追跡の激しさは5段階(チャレンジでは8段階)あり、最初は普通の警察車両が追いかけてくるだけで、すぐに逃げ切ることができます。しかし徐々に投入される車両数も増え、体当たりして停止することを目的とした RUV や、コルベットなどの高速車両が登場し、さらには踏むとパンクして運転が難しくなるスパイクなども登場します。

ここまでは前回と同じで楽しいのですが、細かい部分での不満が多いのが今回の特徴。それが楽しさを台無しにしています。以下にそれを列挙。

2, 突然現れるスパイク

警察車両を破壊するために、色々なところに「パースート・ブレイカー」と呼ばれるものがあります。これは、例えば細い柱の上に屋根があって、さらにその上に巨大なオブジェがあるといった構造になっていて、わざと柱に衝突して折ってしまうことで、上のオブジェが道路に落下。後ろからついてくる警察車両がそれに突っ込み走行不能。といった使い方をします。そして、柱を折ってから数秒間、ゲームはスローモーションになり、視点はオブジェに集中し、崩れ落ちる様子を観察できます。

ところが、このスローモーションになっている最中、全く突然目の前にスパイクが敷設されることがあります。通常、スパイクの隣には3台程度の警察車両がいるので、それでスパイクの存在がわかるのですが、その3台の車両も突如現れます。だので偶然スパイクの反対側を走行していたというのでない限り、これを回避することは困難です。ちなみに車両には当たり判定がないこともあるので、たぶん異常な動作です。

これを防ぐには、「ゲームプレイ」の「カットシーンカメラ」をOFFにし、パースート・ブレイカーでの演出をやめるようにします。

3, 邪魔な字幕

警察車両を破壊します。すると画面上にその車種などのデータが表示されます。問題はその場所で、画面のど真ん中に表示されるものだから、かなり邪魔です。

これを防ぐには、「インターフェース」の「スコア」をOFFにし、表示させないようにします。ただし、追跡度合いを示すグラフも表示されなくなります。

4, 不便なセッティング方法

前回できたことがどうして今回できないのかわかりませんが、走行中にセッティングを変えることができなくなりました。わざわざセーフハウスに戻らなければなりません。しかも、「新しいセッティングのパーツを費用ゼロで購入」という奇妙な形式を取っています。まぁ「一度自分好みのセッティングにしたら、それをどんなレースでも使い続ける」という人は(私もそうですが)ともかく、レースに応じて使い分けるという人は我慢ならないと思います。

これを防ぐには、……仕様です。己の技術、或いは精神力でカバーしましょう。なお、初期設定のまま走ると内側に切れ込みすぎて非常に走りづらいのですが、だからといってセッティングを「アンダーステア」にすると悪化します。ゲーム中の説明をよく読み、それに従いましょう。

5, 防衛戦は余計

ひとつのバトルを終えても安心できません。自分の支配する地区が、他のチームに襲われることがあります。その場合、バトルに続けて防衛戦が始まります。だいたい、バトルと同じようなレベルの敵が現れます。んで、これに勝ってもまだ安心できません。防衛戦の間に警察車両に発見されると、その追跡を振り切る必要が生じます。はっきり言うと防衛戦の存在は、このゲームのテンポをいたずらに悪くしています。

6, コツをつかむと簡単

そんなこんなでシステムから各種の妨害を受けつつも、バトルを一つずつクリアしていって、1日1時間として1ヶ月あればシナリオ モードをクリアできます。だからシナリオの進行は速い方だと思います。

程度の差はありますが全てのレーシング ゲームで、コンピュータ操縦するマシンのパフォーマンスは、人間の操縦するマシンとの差が開けば開くほど向上する傾向があります。しかも大抵、スタート時にはコンピュータが先頭にいて人間は一番後ろであり、また、このゲームではコンピュータの方が高性能のマシンを使っていたりするので、とにかく一刻も早く先頭に出ることが肝心です。幸いなことに今回も「ニトロ」を使用できるので、加速を重視したマシンを使えばさほど難しい話ではありません。ただし「バトルウォー」という種類のレースでは、20台もの車両が同時にスタートするため、なかなか先頭に出られず苦戦するかもしれません。

「チェックポイント」と「ドリフト」の2種類についてはコンピュータが登場せず、単独で走行することになります。だので非常に簡単です。特にドリフトでは、挙動が自動的にドリフト用のものに変更されるため、ゴッサムのスティール並に楽勝です。

7, 総評

あ、ウィングマンの存在を忘れていました。敵のマシンが自分より強力で、かつウィングマンも自分より高性能なマシンを使っているときは、その存在が役立ちます。しかし彼らの能力をレース中に発動したことはありません。ここぞ、という場面がないからです。むしろ、パーツを安く買えるとか、ヒート レベルを抑えるといった「スキル」のほうが重要だと思います。

レースそのものは、難易度が比較的低めということもあって楽しめますが、それを台無しにする要素が多いのが欠点です。グラフィックスは前作より向上しましたが、それ以外の点で進化したのはオンラインに関することだけで、オフラインに関することは退化しているとさえ言い得る状態であり、非常に残念です。

4th February 2007