「チミはこんな残虐なゲームが好きなのかね。軽蔑するよ」
と某県の知事などはおっしゃるかもわかりませんが(顔さえ知らぬが)、それでも星5つ。内容についてはもう説明する必要はないでしょう。端的に言えば「犯罪者になれるゲーム」です。(自衛のためと称する)殺人などの犯罪を行なわなければ先に進めません。小学生等は、よくアニメやマンガの真似をしたがりますが、そういうことをしなくなるまで、或いは自身の行為の結果について予想できるだけの想像力が身に付くまでプレイしない、そしてプレイさせないことを強く推奨します。というかそもそも自分が悪影響を受けると判断したらプレイしないような強い意志を持つ子供を育てることが、……あ、なんか教育の話になってしまった(笑)。そのようなコンテンツではないので次に進みます。
米国発のこのゲームは、日本でも各種媒体で発売されていますが、Xbox では「ダブルパック」として、III(以下 3) と Vice City(以下 VC)の二つがセットになっています。二つにシステム、およびシナリオ上の関連はありませんので、どちらから始めても構いません。3 は、仕事(強盗)中に相棒に裏切られて逮捕された主人公が、移送中に脱走するところから始まります。3つのエリアに分かれていて、ミッションをクリアしていくと次に進めるようになります。その元相棒への復讐が、3 の最終目標です。VC は、主人公がファミリーのボスによって警察に売られ、15年の服役から帰ってきたところから始まります。こちらは2つのエリアに分かれています。最終目標は 3 と同じで、ボスへの復讐を果たすこと、そしてエリアを支配することです。
タイトルに auto とある通り、数多くの乗り物が出てきます。3 では自動車とボート、軽飛行機のみですが、VC では他にバイクやヘリなどがあります。いずれの乗り物も種類が多く、操作性や速度に大きな差があります。しかし買う必要はありません。その辺を走っている車の正面に立って停車させ、Yボタンを押して運転手らを引きずり出すだけです(走ってドアまで追いついて、Yボタン連打でもよい)。また、奪うことが出来るのは市民の物だけではありません。頑張れば軍隊から戦車を奪うこともできます。
グラフィックスはそんなに綺麗ではありませんが、音楽は、実在する曲が収録されているために結構気に入っています。特に VC は、時代設定が 1986 年になっているため、曲もそのあたりのものが使用されています。ダンス系やロック系のBGMを聞きながら、スポーツカーやバイクで街を疾走するのは、GTAの楽しみ方のひとつであるとさえ言えます。バイクは、慣れるまでは運転が難しいのですが、コーナリングのコツを覚えると爽快です。
難易度は高めで、普通にクリアしようとすると結構難しいため、チートを使う人が多いようです。実力だけでクリアするなら、単純に進路上の敵を倒しまくるだけではダメで、いかにして倒す必要のある敵数を減らすか、そしてこちらが受けるダメージを最小限にするか(乗り物に乗っている間はダメージを受けない、など)を、敵陣に切り込む前に考える必要があります。武器の弾数には制限がありますが、スマートにクリアすれば、大した問題になりません。武器は普通のピストルやスナイパ―ライフル、ロケットランチャー(!)などの銃火器のほか、バット等の接近戦用の武器もあります。武器によっては重くて歩くのが遅くなるものもあるため、必要に応じて使い分けるのが賢いプレイ方法です。また、乗り物に乗りながら使用できる武器もあります。
プレイしていて、望ましくない動作が幾つか見られますが、いずれもクリアに支障を来たすようなものではありません。例えば 3 で、最低2箇所の地面が落とし穴になっているとか、VC で救急車が木にめり込んでいるとか、世界の裏側を見られるといった、クリアには関係の無いことだけです。唯一改善してほしいのは、ボートなどから桟橋に上陸するときの操作です。極度のカナヅチなのか海や川に落ちたら終わりなので、上陸には細心の注意が必要です。まぁあれだけ武器持ってたら、誰でも沈むか。……
ちなみにゲームとはいえ、警官の見ているところで暴力や窃盗を行なうと、彼らが追いかけてきます。逃走しながら犯罪を重ねた場合はFBIが現れ、仕舞いには軍隊まで出動します。捕まると武器をすべて失い、所持金が若干減ります。逃げ切る方法は簡単で、塗装可能な乗り物に乗って塗装屋に入るか、データをセーブしてロードしなおすだけです。
この作品の星5つという評価は、内容の倫理性について全く考慮しなかった結果です。倫理的問題を度外視して評価するのが、‘ここでは’正しい方向だと考えたのでそうしました。実社会での評価はご存知のとおりです。
3rd September 2006