「こんなんできました」「作ってみました」というような、いわば試作品とも思えた前作でしたが(それはそれで良かったのですが)、それに比べれば、2は落ち着いた作品に仕上がっていると思います。なお、ゴッサム2はオンライン対応ですが、我が家がオンラインに非対応なので、オフラインの項目だけについてレビューします。
クードスシステムは受け継がれているものの、その意味が前回と多少異なっています。前回はクードスさえ稼げば、高性能なマシンを得ることができて、それを使って低ランクのマシンと勝負する(邪道な)ことができましたが、今回はそうもいきません。使用可能なマシンは大幅に増えたものの、ジャンル、というか「モデル」によって区分されていて、レースもそのモデルごとに行われます。つまり、例えば「コンパクトスポーツ・シリーズ」というものには「コンパクトスポーツ」に属するマシンしか使用できないわけです。なおかつ、あるモデルに属するマシンが 10 台くらいあったとしても、最初から使用できるのはその中の 2 台ほどです。他のマシンは最初、「ロック」されて使用できなくなっています(自分は使えませんが、COM は使ってきます)。で、どうすれば使用できるようになるのかというと、クードスを貯めていって、ある基準値に達するたびに「クードストークン」というものが得られます。そして、あるマシンを使用可能にするには 8 トークンとか、別のあるマシンは 7 トークンと決まっているので、得たトークンと交換する形でロックを解除するわけです。全てのモデルの全てのマシンのロックを解除するには、650 トークン必要なようです。一度交換してしまったトークンは元に戻せないし、前述のように、高性能なマシンをロック解除してもモデルが違ったら使えないわけで、その使いどころが微妙です。何も考えずに片っ端から解除していくと、後悔する可能性があります。最初から使えるマシンの性能はあまり良くないので、クードスもあまり多くは得られません。私は、個人的な楽しみ方として「一台もロック解除せずにどこまでいけるか」なんてことをしているので、とても 650 は行きそうもありません。健全に遊びたいなら、最初から使用可能なマシンである程度トークンを稼いだら、同じモデルで一番高性能なマシンをロック解除し、そのマシンでさらにトークンを稼いで次のモデル・シリーズに挑戦する、というのがよろしいと思います。
ゲームモードは、ワールドシリーズ、アーケードレーシング、タイムアタック、クイックレースの四つがあります。ワールドシリーズとは、先ほどの「モデルによる区分」でプレイするものです。そのクリア条件は、カメラの前で一定以上の最高速度を出すことなど七種類あります。アーケードレーシングでは、ロックの有無に関係なく、決まった車で決まったコースを走ります。レースは、COM と競争するストリートレーシング、一人で制限時間内に走りきるタイムラン、スタイルを競ってクードスを稼ぎまくるパイロンチャレンジの三種類があります。いずれも 20 レース用意されています。タイムアタックは、使用できるマシンで、走行できるコースを、とにかく速く走るだけです。オンラインならば世界記録に挑戦するなどといった面白さもあるようですが、オフラインの場合、単なる練習モードにすぎません。クイックレースは、細かい設定抜きにレースを行うものです。
このゲームが面白い理由として「メダル」の存在があると、私は思っていますが、前回「ゴールド(ハード)・シルバー(ミディアム)・ブロンズ(イージー)」の三段階だったのが、2では「プラチナ(エキスパート)・ゴールド・シルバー・ブロンズ・スチール(ビギナー)」の五段階になっています。スチールは、極端に言えば、練習にもならないくらい簡単なレベルです。慣れた人であれば、ブロンズくらいまではスムーズにクリアできるでしょう。しかしシルバー以降は難しくなってきます。私の現段階での成績を紹介しておくと、ワールドシリーズは全てシルバー以上(ゴールド、プラチナも数枚)、アーケードのストリートレースは一度もやってなくて、タイムランはゴールド 15 枚、シルバー 5 枚、スタイルは 20 枚ともプラチナです。私としては、妥協したくないのはスタイルだけなので、他はどうでもよいので、シルバーで止まっているわけです。特にストリートレースは、相も変らぬコンピュータの無慈悲な走行により、やる気が失せてしまいました。もう少しモラルが欲しいところです(開発陣に)。操作感覚は、前回と比べると落ち着きました。今、前作をやってみると「飛んでる」感じがします。コースは新たに追加されたものばかりですが、コースも落ち着いています。前回は極端に狭い道幅、激しいアップダウン、すぐにスピンするマシンによって、何度も憤怒の鬼と化しましたが、今回はきちんと「道路」を走っているなど、いずれも普通になっています。
ゲームシステム以外の点については、向上と言えるかどうか微妙なところです。グラフィックスは、例えば街のショーウィンドウや濡れた路面がきちんと周囲を映していたりして綺麗なのですが、フレームレートが 15FPS らしいので動きが荒っぽく見えてしまっています。音楽は前回より質が落ちた感があり(私好みでないだけですが)、残念です。ただ叫んでるだけの、やかましい、曲と呼ぶのもためらわれるデータ(かなり前衛的なミュージック、と呼ぶのが関の山か)も収録されています。しかもポーズ中に選曲することができなくなり、事実上選曲不可能になった点が不満でなりません。確かに現実世界では走行中に選曲しますが、そこまでリアルさを追求しなくてもよいと思います。
まとめると、少なくともオフライン部分に関しては、多少の不満は残るものの完成したといってもよいレベルに仕上がっています。逆に、細かい改良を除けば、これ以上の上積みは望めない気がします。「ゴッサム3」の話は聞いていませんが、もし出るとしても、コースやモデルが入れ替わるだけで、他には大した変更はないと予想しています。パソコンにおける「追加パック」のようなものになるかと思います。実はこのゴッサム2も、1に対する追加という形なのだそうで、なるほど、前回あった東京・ニューヨーク・ロンドン・サンフランシスコは出てきません。そういうわけで、ゴッサム2をプレイしようと思っている人は、1もプレイしてみることをお勧めします。
16 April 2004